花山椒と穴子のしゃぶしゃぶ
春の訪れを五感で味わう一皿として、強肴には「花山椒と穴子、筍、蕨のしゃぶしゃぶ」をご用意いたしました。
やわらかな陽射しの中で芽吹く花山椒は、この時期だけの特別な香り。口に含んだ瞬間、ふわりと広がる爽やかな刺激と上品な余韻が、春の山の息吹を感じさせてくれます。その繊細な香りを引き立てるために合わせたのは、脂の乗った穴子。さっと出汁にくぐらせることで、ふっくらとした身質と甘みが際立ち、花山椒の風味と美しく調和します。
さらに、旬の筍は歯触りとほのかな甘みを、蕨は独特のぬめりと山菜らしい滋味を添え、ひと口ごとに異なる春の表情をお楽しみいただけます。それぞれの食材が持つ個性を活かしながら、一つの鍋の中で調和していく様は、まさに季節の移ろいそのもの。
出汁は素材の持ち味を損なわぬよう、あくまで静かに寄り添う仕立てに。くぐらせる時間や順序によっても味わいが変化し、お客様ご自身で仕上げていただく楽しさも、この一皿の魅力のひとつです。
コースの中盤、印象に残る強肴としてご提供する本料理は、春という短い季節の美しさと儚さを映した一品。香り、食感、旨味が重なり合うこのひとときを、どうぞゆっくりとお楽しみください。



